よもぎカフェ

めちゃくちゃ、こだわってるのに、とってもナチュラルなカフェ
庄原って、ホント楽しい人がいますねっ

「庄原のすんごい、山の中にあってね……」
「地産地消どころか、ほとんどが自分の敷地内で作ったものだって!」

そんな前情報を耳にして「よもぎcafe」なんていう店名を聞いたら、間違いなく、山菜の天ぷらが出てくるような、割烹着をつけたおばあちゃんがお出迎えしてくれるような? そんなイメージを持つ方が多いと思いますが、だいぶ違います。

この日、出迎えてくれたのは「由香」さんと「崇」さんの若い姉弟。
まるで都会のナチュラルカフェに来たかのようなオシャレな空間。

 ホームページには、有機野菜とか、身体に良いもの、調味料はこだわって全国から取り寄せている……などの言葉が並ぶので、かなりこだわったストイックなお店なのかな、と思っていたのですが、これもだいぶ違いました。
「『美味しいもの』を求めていたら、たまたま、身体に良いものだった」……ただ、それだけのことだったのです。

ランチは、季節のおまかせコース(¥2,500)と日替わりランチ(¥1,000または¥1,500円)、どちらも要予約です。

こちらは、ある日の季節のおまかせコースの全景。美味しそう! 

カフェらしいカジュアル感もありつつ、あしらいの細部にまでこだわって、丁寧に作られているのが伝わってきます。

1皿ずつ、お料理の説明を求めると、由香さんは「語れることがありすぎて、お料理が冷めちゃいます!」と笑って説明してくれました。

でも本当にたくさんのストーリーがあって、伝えきれそうにありません。
代表してメインディッシュをご紹介しましょうか。

「うちのブーちゃんです! 奥の方にチラッと見える色の濃い方がブーちゃんの肩ロース、手前の白っぽいのはロースです。」

「うちのブーちゃん?」

実は、敷地内で養豚しているんです。広島県で唯一、豚の放牧を許可されています。柵こそしているけれど、広い敷地の中を自由に走り回って育ち、自然交配で出産することも。初めて出産に立ち合ったときは、Youtubeをみて情報を集めたんだそうです。同じ地区で牛の放牧をしている「ふくふく牧場」さんからチーズを作るときのホエイを分けてもらって、エサにしたり、放牧だから自分で地面を掘ってミミズを食べることもあります。
「だから、ものすごく個体差があるんですよ!」

ブーちゃんは、県外の処理施設でお肉になって帰ってきます。今日のお料理は低温調理しているので、とってもやわらかくて、しっとり。白いソースの上に振りかけてある赤い粉は、自家製のビーツパウダー。

「最近ね、粉にハマってて!」と言う由香さん。
そういえば、他のお料理にも色んな色のパウダーが振りかけてありましたね。
オレンジは人参、緑色のパウダーはクマ笹ですって!

「あ、そうそう、このソーセージは、ブラックバスのソーセージです。釣りに行って獲ってきたんです。それから、これは天然のキクラゲ。山で採ってきました!」…… と、どれもこれも、ほとんどがこの庄原の山や川、自家栽培の野菜ばかり。

  •     【かぼちゃの花、インゲンマメ、島ラッキョウ】

あしらってある木の実や花にも注目。
紫色の実は「ヒゴダイ」という全国でも絶滅危惧種に指定されている貴重な植物なのだそう。

こういう植物がこの山にある、ということも伝えていきたいことの1つです。

カフェがやりたい、が最初ではなく、働きたい女性の自立支援など誰かの力になれる仕事がしたいと思ったという由香さん。

実は料理だけでなく建物の基礎工事からすべて手作り。
妊娠中でもお構いなしに、高いところに登って、自分が実現したいものを自分の手で作りあげてきました。

家族や仲間たち、みんなが力を貸してくれました。

「もっと若い人たちに来て欲しいんです!」

「季節のおまかせコース」は、あれだけの手間ひまをかけていながら、なぜ2,500円なのか、それは頑張ってバイトして五千円札を1枚握りしめて来たら、ここで好きな人と一緒に美味しものが食べられる、そういう場所でありたいと思ったからです。

「美味しいものを食べるのは、お金持ちの特権じゃないよね?!」
「大自然のおいしい時間」で味わえたのは、「人間力」が感じられるような力強くて、素敵な言葉。
それは、お料理以上のごちそうでした。

店舗情報

店名 よもぎカフェ              
住所 広島県庄原市口和町宮内285     
電話番号 080-4174-7851
営業時間 11:30~16:00頃
定休日 不定休(ご来店の際は事前にお問合せ下さい。)