庄原フードツーリズム

庄原の農作物が美味しい理由

【庄原野菜を代表して…… 高野町の大根】

代表的な庄原野菜の1つに大根があります。主な産地は高野町。県内では唯一、夏大根の産地です。

本来は冬が旬の大根を夏季に収穫できるのは、標高500mの冷涼地だからこそ。収穫は、朝の4時頃から行われます。
手で引き抜いていきますが、そのスピードは速く、2時間もしないうちに1000本は収穫し終えます。

早朝に収穫するのには理由があります。
高野町の大根は、「黒ぼく」と呼ばれる土壌で育つためです。黒ぼくとは、古代の三瓶山の噴火で積もった火山灰とそこで茂っては枯れ、腐植となった草木が長い年月をかけて交じり合い、形成された特徴ある土のこと。粒子が細かく、通常、必要とされるかん水設備がなくても十分な保水力があります。この黒ぼくのおかげで、きめ細かくみずみずしいダイコンが育つ一方、日が昇って土が乾燥したときに収穫すると、土がなかなか落ちなくなってしまうという課題も。そのため、朝露で湿っている早朝に収穫するのだそうです。

地元の人は「特に夏の高野大根はうまいよ!」と口をそろえます。
高野町のような寒冷地でも、夏の暑さは、大根にとってストレスになるようです。それで大根の辛味が増します。これが、夏が特に美味しいと人気の理由です。
そうそう、庄原はソバの産地でもあります。それをそば粉にして、蕎麦を打つ店もあります。夏はおろし蕎麦に決まりですね!

高野町の大根産地のように、もともと特徴のある土壌を持っている地域もあれば、そうでない地域もあります。どの農作物も土壌は重要。もともとの土壌条件も悪くないけれど、一層美味しいものを作ろうと、堆肥作りから取り組む例もあります。その1つがお米です。


【庄原のハイレベルな米作り】

「庄原のお米は美味しい!」と、全国的にも評価されています。
その理由の1つは、2014(平成26)年に設立された「庄原市ブランド米推進協議会」の存在です。

庄原市内の山内、東城、西城の大きな3つの地域の生産者が協力し合って、庄原の品質も良くて安全で美味しいお米のPRに努めています。

最大の特徴となっているのは、共通の竹堆肥。原料となる竹粉は生産者自らが庄原の山で伐採した竹を粉にしたものです。農作物は何でも「土づくりが大事」と言われますが、土づくりの要となる堆肥から作るというのは、かなり大変な取り組みです。そのことを少しご紹介しますね。

【比婆の神米 圃場】

【アイガモ米 圃場】

【里山の夢 圃場】

【堆肥センター】

「堆肥(たいひ)」は、一般的にはイネのワラなどを材料に、それらを発酵させて作ります。

同協議会のメンバーは、伐採した竹を粉末化したものに、牛糞をブレンドします。牛糞は、牛が食べるエサによる影響が大きいので、堆肥に適した、安全性も確保できた牛糞が必要です。

この点は、畜産の町としても確固たる歴史がある庄原市。竹だけではなく、牛糞も身近なところで手に入ります。でも合わせた後は、自然の菌の力で発酵させるので、出来上がるまでに1年かそれ以上の時間がかかります。

【荒い竹片も発酵熱で炭化し、竹炭と同じ効果も期待。】


イネには大量の堆肥を必要とします。

大量に仕込むものをまんべんなく発酵させようと思うと、途中かき混ぜるなどして、手間をかけないと安定した品質の堆肥にはなりません。

さらに出来上がった後も、それを田んぼに撒く手間もかかりますし、撒いた後は微生物が分解してゆっくりとイネの栄養になるので、効果がすぐに感じられるものではありません。

化学肥料が短時間で大量に生産できるのに対して、堆肥はこのように時間と手間がかかるので、出来上がったものを購入しようと思うと、かなりの費用がかかります。

だからと言って、小さな農家一軒だけで作るなんて、簡単ではありません。


「庄原市ブランド推進協議会」に加盟するお米の生産者さんたちは、皆で作った竹堆肥を分け合って活用しています。全堆肥のうち、2割は竹堆肥を使うことをルールとしています。

そこから米の栽培については、地域によって気候条件や水源などが異なるため、それぞれの生産者で堆肥とはまた別の工夫と努力を重ねて、米作りをしています。

このように、もともと恵まれた自然条件がありながら、それに甘んじることなく、努力を続けている、それを地域で取り組んでいるというところに惹かれます。これが庄原の「暮らしやすさ」にもつながっているのかもしれません。

庄原市、その広さゆえに、まだまだ知られていない庄原食材があるような気がしてなりません。四季折々、何度でも訪れてみてください。ヒバゴンに遭遇できるその日まで。

「竹堆肥を使った米って、そんなに違うんですか?」と聞いてみると、「もうね、食べたら分かりますよ。米だけじゃない、野菜もです。
竹粉堆肥を使った米や野菜を食べたことある人は、もう他のじゃ物足りなくなりますよ!」
と、そのくらい出来上がりの「味」に明らかな違いが出るそうです。

これはぜひ食べてみたいですね。