そば処『天咲』

「比婆牛」暗礁期を乗り越え復活間近!?
リーズナブルな東城産そばの店

道の駅 遊YOUさろん東城 と敷地を同じくして「そば処『天咲』」があります。東城町産の玄そばだけを使った自家製そばをリーズナブルに味わえます。ここはやや太めのそばなので、かけそばがおすすめ。
一番人気は「広島牛そば」です。

【甘めのつゆと肉のうま味が合う! 地元で一番人気】

【調理を担当する赤木さん。勤務して7年目になるというベテランでさすが手際が良い!】
【調理を担当する赤木さん。勤務して7年目になるというベテランでさすが手際が良い!】

ここ「天咲」は、店内に入ってすぐ券売機で食券を買い求めるシステム。

 オーダーを入れてから提供までわずか数分なので、
手軽に昼ごはんを済ませたいという地元の人たちやこれから行くところがあるというお客さまには、ササッと食べられる食事処です。

かけそばは、そばの状態が良いうちに早く召し上がってくださいよ!

【自社で製粉、製麺したそばは、温かいそばで食べるのが人気】

 ここでちょっと「広島牛そば」についてお話させてください。本当なら、庄原の比婆牛を使って「比婆牛そば」にしたいところです。比婆牛は和牛の中でもっとも歴史のあるブランド牛です。ところが全国各地で和牛ブランドが誕生した頃、その競争に生き残る目的で1986年(昭和61)に県内の4育種圏(比婆・神石・双三・高田)が統一されました。このときから2014年(平成26)頃まで「比婆牛」と名乗ることができませんでした。全て「広島牛」という名前に統一されていた「比婆牛暗礁期」があったのです。
 ここ「天咲」でも「比婆牛そば」から「広島牛そば」に変更せざるを得なくなりました。今は「比婆牛」というブランドは見事に復活を遂げ、2019年(令和元)地理的表示保護制度(GI)(※)にも登録されました。でも「比婆牛」のブランド価値が高まると、今度はリーズナブルに提供することが難しくなってしまったのです。
※地理的表示保護制度(GI);特徴ある地域産品を保護する「地域ブランドの証し」。農林水産物・食品などの「地域ブランド」を守る目的で平成27年6月1日にスタートした国の制度。

※地理的表示保護制度(GI);特徴ある地域産品を保護する「地域ブランドの証し」。農林水産物・食品などの「地域ブランド」を守る目的で平成27年6月1日にスタートした国の制度。

 このような事情があって「広島牛そば」となっていますが、広島牛には比婆牛の良いところが色濃く反映されていますので、比婆牛にかなり近いお味と思って召し上がってみてください!

【店内からガラス越しに見ることができる製粉所】
【店内からガラス越しに見ることができる製粉所】

「天咲」の店内からガラス越しに製粉所をのぞいてみることができます。

 東城産のそばは収穫したら低温庫で保管され、必要量だけ、こまめに製粉されています。
 年越しの時期には、近所の農家さんが製粉してほしいと、自分で収穫したソバの実を持ち込まれることもあるそうです。

冷たいメニューで人気なのは「割子そば」です。

【3段分の割子そばは、ボリューム満点】

「割子そば」は、もともと島根県の出雲地方に伝わる郷土そばです。「割子」はそばを盛る容器の名称。昔、出雲地方で重箱のことを「わりご」と呼んだことに由来すると言われています。割子3枚組を一人前とするのが一般的。本来は三段が重ねてあり、まず一番上の段のそばに薬味をのせ、つゆをかけて食べます。上段を食べ終えたら中段、下段と順々に食べるという独特の食べ方をします。そばが太めでしっかりした歯ごたえのある「天咲」の3段割子は、かなりボリュームがありますよ。

 「天咲」の店名は「ソバの花が天に咲くように」という意味が込められています。ソバの花が満開になる頃(9月半ば~下旬)や新そばが出る時期、紅葉シーズンはたくさんの観光客でにぎわいます。

 職人気質な尖ったそばではないけれど、誰と一緒に食べに来てもらっても美味しいと喜んでもらえる味、そんな味を目指しているカジュアルなお店です。

店名 そば処 『天咲』
住所 広島県庄原市 東城町川東877 道の駅 遊YOUさろん東城 側
電話番号 08477-2-4444
営業時間 10:00~16:00
定休日 水曜日
ホームページ http://www.yousalon.sakura.ne.jp/sobadokoro.htm

取材・文/平山友美